1:ケーキ! ケーキ! ケーキ!

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 それから唯衣子は、閉館時間まで図書館にいた。彼女が気になったのか、自分の店を閉めた晶良さんが様子を見にきて、彼女に訊ねた。 「どう、この図書館。気に入った?」 「はい。居心地はとても良かったんですけど……、」  唯衣子はがっくりと肩を落とす。 「全然、読めませんでした。私、もともと読書の習慣がないんです」  やっぱり、と、せあらは心の中で呟いた。 「本は、家に借りていっても良いんですよね?」  唯衣子の問いに、せあらは頷いた。 「頑張って、家でも読みます」  そう云うと、唯衣子は本を持って帰っていった。よほどくたびれたのか、足元がややふらついていた。 「あんまり根を詰め過ぎないと良いけど」  晶良さんは(ジン)をひと睨みして、去っていった。
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