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◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎
月曜日に、柚原少年は再び辺境図書館にやって来た。しかも、悠宇君と一緒に。
「一緒に行こうって柚原を誘ったら、行くって云ってくれたんだ」
と、悠宇君。二人は学校で親しくなったようだった。悠宇君とせあらが夕飯を食べるのを、柚原少年もケーキで附き合った。
「ま、」
”また来てくれて嬉しい”
せあらが筆談で彼に伝えると、柚原少年はやや照れたような表情になった。もう、せあらを睨むことはない。険の取れた彼の睛は、可愛らしかった。
「あの詩が書いてある本って、どれですか、」
「し?」
「あの、メモ帖の……、」
金子みすゞの詩のことだろう。
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