4:本の捨て子

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「あの時、急にメモ帖が光りだして、真っ白なところに、文字がずらずらって出てきたから、吃驚(びっくり)したんです」 「何それ、何の話?」  悠宇君が(くび)を傾げる。せあらと柚原少年は目を合わせた。 「な、」  内緒。せあらは口に人差し指を当てた。 「面白いね、この図書館」  柚原少年は悠宇君に云った。悠宇君は頷いた。「面白いよ、この図書館」  今日は門限に間に合うように、柚原少年は帰っていった。金子みすゞの詩集を持って。  あっと云う間に閉館となった。せあらは簡単に片附けを済ませる。  (ジン)は自分の席に坐って、原稿用紙を前に、腕を組んでいる。今日もあまり筆は進まなかったのかな、と、せあらは思った。 「か、」  片附け終わりましたと、報告をすると、神は坐ったまま口を開いた。
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