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「あの時、急にメモ帖が光りだして、真っ白なところに、文字がずらずらって出てきたから、吃驚したんです」
「何それ、何の話?」
悠宇君が頸を傾げる。せあらと柚原少年は目を合わせた。
「な、」
内緒。せあらは口に人差し指を当てた。
「面白いね、この図書館」
柚原少年は悠宇君に云った。悠宇君は頷いた。「面白いよ、この図書館」
今日は門限に間に合うように、柚原少年は帰っていった。金子みすゞの詩集を持って。
あっと云う間に閉館となった。せあらは簡単に片附けを済ませる。
神は自分の席に坐って、原稿用紙を前に、腕を組んでいる。今日もあまり筆は進まなかったのかな、と、せあらは思った。
「か、」
片附け終わりましたと、報告をすると、神は坐ったまま口を開いた。
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