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結局、せあらと鉄太さん夫妻とで、女性の両手を引っ張って、図書館の中へと運び込んだ。女性はすみません、すみませんと云いながら、自分ではまるで足を動かせないようだった。図書館に入ると、やや安堵した表情になり、足も動くようになって、自分で椅子に坐った。本当に、洋菓子店の前を離れたくなかったのだな、と、せあらは感心した。
「どこか躰の具合が悪くて、倒れていた訳じゃないのね?」
晶良さんが確認すると、申し訳なさそうに彼女は頷いた。
「そっか。それなら良かった」
鉄太さんも、うんうん、と、頸を振る。取り落とした鉄太さんの携帯電話には、大きな傷がついてしまっていた。
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