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笑顔の彼女に、そっと唇を奪われた。
甘くもなく、匂いもなく、ただ柔らかいだけだった。
苦しくもなく、後悔もなく、ただ愛しいだけだった。
「ああ、しちゃった」
短いくちづけを終えて、私は自分の唇を触る。
今までそこに触れていたソレと同じ柔らかさなはずなのに、不思議な違和感。
「しちゃいました。先輩って、いっつも年上ぶる癖してチキンなんですもん」
緊張で目を瞑っていたから気づかなかったけれど、よく見ると彼女の顔は真っ赤で目が少し潤んでいた。体も少しだけ震えている。
「ごめんね、私がバカだった」
もう一度強く彼女を抱きしめると、制服越しでも高い体温が伝わってくる。
もしかするとそれは私の体温だったかもしれない。
「少し暑いね、もう一回窓開けよっか」
夕暮れ時、カーテンを開き少しだけ窓を開けると風が心地よかった。
「ねえ、雨白ちゃん。私達って、ずっと恋人だよね?」
「そうですね、でも先輩、そういうことを学校で言っちゃ駄目だってさっき……」
言い終わる前に私は彼女の口を唇で軽く塞いだ。
二度目のキスは私から。
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