レンタル奴隷

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真剣な、そして怯えたような顔をしたパパに違和感を感じた。どんな時も自分の力を信じ、自信に満ち溢れているパパ。こんなパパを見たのは初めてだ。 チャイムの鳴る音がした。メタボリックな腹を揺らす程大袈裟に驚いたパパが、ママに目配せで応答するように命じた。ママも緊張した面持ちで玄関への廊下を進み、玄関の錠を捻った。 「わっ」 ママを押しのけ部屋に入ってきたのは全身真っ黒の人間。いや、人間と判断できるのは体の作りだけ。顔には、のっぺらぼうのようなお面がつけられ、その下にあるはずの表情が何一つわからない。人間らしさが、伝わらない。 リビングに入ってきたのは、3体の黒い奴等。パパの制止も全く無駄で、まるで、最初から僕を標的にしていたように真っ直ぐに、向かってきた。 ーー カビ臭い、頬に触れる冷たい床。首が重い、頭が痛い。人生で味わったことのない不快感が全身を纏ってる。 首が前へと引っ張られた衝撃で、目を見開いた。ズキリ、と頭を貫く痛みに顔をしかめるも目の前の光景に、痛む喉で生唾を飲み込んだ。     
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