レンタル奴隷

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人間。人間の子供が、暴力を受けている。でも、僕の知ってる暴力と違う。何が違う?どう違う?ああ、わかった。人間だけど、人間じゃない。人間として、扱われていない。二足で歩けるはずの四肢で犬のように胴を支え歩き、サーカスに売られた獣のように鋭い鞭で躾をされ、三角の漏斗で胃に強制的に流しこむ餌のやりかたは、犬とも獣ともかけ離れている。 ここにいるのは全員、家畜だ。 パパママ、助けて。早く、このゴミ溜めから出して。こんな場所に一秒でも長くいたら、それだけ僕の価値が下がってしまう。そんなの許さない。 側頭部の髪が引っ張られ、十分な高さまで持ち上げられないまま引きずり始めた。痛い、床の凸凹に引っかかった皮膚がそぎ落とされていく。痛い、離せ、くそ、僕を誰だと思ってる。パパは有名な会社の社長だぞ。こんな真似して、お前らの人生めちゃくちゃだ。パパがいればお前らなんて、おまえらなんて… 「生きの良い奴隷だ」 合成音が奇妙に鼓膜に響いた。奴隷?奴隷といったのか?この僕を?僕を奴隷呼ばわりするなんて、とんだ世間知らずだ。今すぐパパに言わなきゃ。そして世界の権力者から、こいつらを抹殺して貰わなきゃ。だから、早く助けて。パパ、ママ。早く、早く、早く早く、早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く 「クソ親がよ!!助けてって僕が言ってんだろ!!」     
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