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おーいと友達に呼びかけてみるが俺の声が虚しく響くだけで誰も返事しない。
吐く息は真っ白で酔いも冷めてきたのか急激に寒さが襲ってきた。
俺は焦って元来た道を戻ろうとしたら一人の老婆が通路の壁際に座っていたんだ。
茶色い麻袋のようなローブを頭からかぶり、ツンと鼻を刺すような異臭がしたので ホームレスだとすぐにわかった。
きっと寒さしのぎと観光客狙いでここに身を寄せていたんだろうね。
俺はズボンのポケットを探って小銭を出すとその老婆に渡して、アジア人二人とフランス人三人を見なかったか尋ねた。
老婆はメルシー・ムッシュと言って受け取ると、彼らはこっちに行ったから案内すると立ち上がった。
老婆は来た道を戻るのではなく先の方へ行き、こっちこっちとどんどんと進んでいった。すると狭く細い道の先に少し開けた空間が見えてきて、そこには老婆と同じ茶色いローブを着た人が二十人ほど輪になっていた。
彼らはろうそくを手に持ち、ラテン語のような発音で何事かを唱えていたんだ。」
「映画に出てくる秘密結社の集会みたいね。」
すると彼は私をうつぶせにし後ろから覆いかぶさってきた。
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