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「でもこの話にはまだちょっとだけ続きがあってさ。
この出来事から二ヵ月後ぐらいに俺はフランスから出国することになったんだ。
シャルル・ド・ゴール空港まで移動して手荷物検査を通ろうとしたら係員に止められた。
ボストンバッグの底が濡れているから中身を確認させろって言うんだ。
液体は入れていないはずなのになぜ?と不思議に思ってバッグの底を探ったら…なんとロブスターが出てきたんだ。もちろん死んでいる。」
「げっ気持ち悪い。」
「身に覚えがないし誰かのいたずらだろうって説明して何とか出国できたけど、真相はわからないままだし後味の悪さといったら…。」
そう言うと彼は急激に腰の動きを速め、あっという間に射精した。
これが彼の物語の終幕の合図だ。
私は全身の力が抜けて放心した。
この話は本当に彼の実体験なのかそれとも作り話なのか。
どうでもいいことだった。
彼は丁寧にコンドームを取り外すと中に溜まった白い液体をひとしきり眺めた。
今夜の物語の出来を確かめるように。
そしてそっとティッシュに包みゴミ箱に捨てた。
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