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文章も構成も拙かったが、作者の描きたかったものに心動かされた本をダンボールに入れる。
悲しみで泣いた本を入れる。
男二人の熱い友情に萌えを感じた本を入れる。
柔らかい文章に自分もとろけさせられそうになった本を入れる。
ラストが描かれないまま、二巻打ち切りとなった個人的名作本も悔しい気持ちのまま入れる。
どこにも面白さを見いだせなかった本を清々した気持ちで入れる。
子どもの頃大好きだったけど、嗜好が変わって今は見たくもない本も入れる。
ハマり過ぎて色々言動や行動を影響された本を、顔から火が出そうな思いで入れる。
後日談でヒロインと主人公が酷いことになっていた本をダンボールに叩きつける。
終盤の怒涛の展開で名作認定した作品を入れる。
入れる、入れる、入れる、入れる、入れる、入れる。たまに叩きつける。
そうしてダンボールは、無数の文字の群衆で満員になる。
たくさんの物語が入った箱はとても重たくてお店に持っていけないので、自宅へ取りに来てもらうことにした。
私の年齢だと本を売るのに色々と面倒な手続きがあるけれど、そこはお母さんに頼んでクリア。
四つもあったダンボールは、手際のいい運送業者の手でサクサクトラックに乗せられて運ばれていった。
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