戦端。決意 風澄徹

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「そうか……やっぱりどちらかが消えるしかないのか……」  日本は広いけど、時空越境作戦で戦う場所はどういう理屈か分からないけど決められているらしい。何度か会ううちに、此処で会うという場所が暗黙の裡に決められた。渋谷だと鉄道駅の看板の裏。  いつも通りそこで待っていた彼にこの話を告げるのはつらいことだった。でも言わないわけにはいかなかった。 「そうか……」  彼がもう一度、感情を押し殺すような重たい口調で言って、黙り込んで彼が唇を噛む。  ちょっと辛くなって俯いた。 「どうしようもない……か」  もう一度、彼が確認するように繰り返して、重苦しい沈黙が流れた。  何か言うべきだろうか。なにも言わないほうがいいのか。 「でも、研究はまだ続いてるみたいだし」  沈黙に耐え切れずに口を開いた。せめてもの慰めで、努めて明るい口調で言う。 「希望はあるよ」 「……そうかもね」  彼が気のない返事を返してきた。  ふと顔を上げると、目の前に黒いものが突き付けられていた。 ◆  銃口だ、と分かった  とっさに首をひねる。耳元で銃声が響いて、轟音と衝撃がハンマーのように頭を叩いた。一瞬遅れてこめかみに火をつけられたような熱さが走る。  反射的に体が動いた。訓練の賜物。伏せながら体をひねって彼の脚を払う。体勢を崩したすきに看板の裏から飛び出して、遮蔽に逃げ込んだ。 「何をするんだ」  間近の銃声で頭がくらくらするけど、首を振ってそれを振り払った。  マシンガンを取り出して安全装置を解除する。いったい何のつもりなんだ。 「……僕らの世界でも言われたよ、対策はない」  こだました銃声が消えかけたとき、彼の言葉が聞こえた。  ……僕ら自身が鏡のように、向こうの世界でも同じことが起きていたのか。 「待つんだ、まだ研究は……」 「なあ、すまないが」  僕の言葉を遮るように彼が言った
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