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その日突然、僕はアルクトゥルス学園の職員室に呼ばれた。
自分で言うのもなんだけど、僕は「優等生」で、職員室に名指しで呼ばれるなんてことはなかった。
何のことかと思っていってみたけど、そこにいたのは教師ではなく、いわゆる管理局の役人だった。
初めて会う彼はサングラスの様なインターフェイスをつけていて、愛想のない口元を崩さないまま、僕に身分証を見せて管理局の一角に同行するように命じた。
厳重に隔離された管理局の無機質な一室。そこで唐突に話されたことはあまりにも荒唐無稽な話だった。
最近時々起きている景色が突然歪む奇妙な現象の正体。僕たちと同じような世界がもう一つあるということ。そして、二つの世界が衝突して両方ともが滅びるかもしれない、ということ。
それを避けるための時空越境作戦、そして、その作戦に参加するNSDF適性が僕にあるという事。
アルクトゥルス学園からは鏡磨や鏡華、しづねさんが参加する、そして僕もそれに参加するべし、ということ。
説明を受けると守秘義務の書類にサインさせられて解放された。息苦しい感じの小さな部屋から出されて、外の空気を吸って空を見上げる。でも、なんというか実感がなかった。
アルクトゥルス学園の学生宿舎の戻るためにモノレールに乗る。
周りにはいつも通り、スーツに身を固めた大人たちや、子供連れがいて、とりとめのない話が聞こえてくる。
窓の外に流れていくのはいつもの景色だ。
……世界が滅びそうだから、それを救うために戦え、と言われても、はいそうですか、と適応できる人間はそう多くはないと思う。
アーカイブで見た前世紀のノベルにはそういうものが結構あったけど。彼らは世界を救えといわれたときどう思ったんだろう。
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