4章 淡雪のように…。

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 微笑みかけてくれたイディアにミスマは抱きついてまた巻き込んでしまったことを謝罪する。  しかし謝罪に対してイディアは首を振ってから答える。 「もうミスマだけの問題ではありません。共にこの苦難を乗り越えましょう。」 「イディア…!」  彼女の言葉にミスマは感動してありがとうございますと返し安心の微笑みを浮かべた。  このまま2人の世界に入ってしまおうとしたところにザウバーが割り込む形で話し掛ける。 「ミスマ殿、あの女性になんと言われてフェンリルの獣道までやってきたのですか?」 「あ、はい、仕事で外回りをしていた時に話し掛けられまして、イディアの耳飾りを見せられたので素直に従うことにしました。」  その時の検問に関してはミスマの権利を使って実行犯の女性は付き添いという形で通過したとミスマは語る。  問いかけに返したミスマは懐からその耳飾りを出してイディアに返した。  受け取ったイディアはお礼を言ってからなくなっていた方の左耳に付けてみせる。  すると付けるところを見ていたミスマがあら?と呟く。 「ん?何か?」 「ああいえ、首の後ろあたりに黒子(ほくろ)があったのですねと思いまして。」 「えっ!?そんな、お恥ずかしい…。」  ミスマに言われて思わず首の後ろに左手を当てたイディアは照れてみせるのでザウバーは微笑した。 「さて、そろそろ拙者は行かねばならぬ故これで失礼するとしよう。」
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