【幽薬専門 森羅堂2. カリョウビンガの雛】

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【幽薬専門 森羅堂2. カリョウビンガの雛】

【幽薬専門 森羅堂? カリョウビンガの雛】        ①彩色の羽毒属性          ① 車を降りた瞬間、首筋を抜けていった風が涼しく感じられた。 夏はまだ終わりそうになかったが、秋の気配は確実に訪れている。  玲子は通い慣れた市民病院を見上げた。 「もうおばあちゃんのお見舞いに来ることはないんだ・・・」 口に出した瞬間に、体中を悲しみが走り抜けた。 最近塗り替えられたばかりの白い壁に、朝の陽ざしがまぶしく照り付け、規則正しく並んだ窓のひとつひとつに今日がはじまっていた。
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