クリスマス

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なんだか別世界のパーティーのような気がして、セレブとも知り合いになりたいとは思ってはいなかった。「シャンパンで乾杯しましょう。」と一人のイケメン男が近づきナナに渡した。内心こんなパーティーならもっとドレスアップしてくれば良かったと思ったら落ち着かなくなり帰りたいと思う気持ちが強くなり、これを飲み干したらロビーにとりあえず出ようと決意した。しかし、目の前のイケメンが長々と話しかけてきてチャンスを失い、オードブルのカナッペの美味しさについつい長居をしてしまい、ローストビーフを切り分けて貰った頃から満腹感からか睡魔に襲われていた。クリスマス公演を前に食べ過ぎてはいけないとデザートはパスしようとしたら、また例の男がフルーツを小皿に綺麗に盛り付けて、「バレリーナはケーキ食べない方が良いよね。」と微笑みながらナナの前に再び現れた。デザートを受け取らないわけにはいかずに成り行きでニコッと笑いながらお皿を受け取った。「私の事ご存知なの?渚のお友達で聞いたのかしら?」「初めましてジュンです。事業やってます。バレエにも興味あるので、お話聞きたいな。」と二人は会場は騒がしいのでバーカウンターへと場所を変えた。渚には合図を送った。二人は今夜出逢ったばかりなのに意気投合して、クリスマス公演のチケットを一枚渡したら、「もっと欲しいな百枚でも仕事で使うから回して欲しいな。」とナナの輝く瞳を見つめながら囁くように話した。「本当に?嬉しいわ。この時期同じ公演多いから必死なの。助かります。」と感謝しかなかった。「じゃあ連絡してね。今夜は失礼します。」と名刺を渡された。ご機嫌なナナは心の中でピルエットをしていた。ジュンはナナと別れてからホテルの客室の恋人が待っているドアのカードキーを取り出していた事はナナは知らなかった。もうベッドの中には待ちくたびれた渚がいたことも。
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