クリスマス

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帰宅したナナは渚に感謝のメールを送っていた。熱い吐息の二人には着信音は聞こえずに渚の恍惚の喘ぎに打ち消されてしまっていた。何も知らないナナはジュンにときめき始めていた。王子様のような気がして受け取った名刺に熱いキスをして夢の中では二人でバレエの公演の舞台で何故かジュンが一緒に踊っていた。爽やかな朝を迎え、心弾みまたバイトの早朝スーパーの品出しをしてからお弁当箱に詰めたサラダランチを食べ、午後からは自分の練習に夕方は学校帰りの子供たちのクリスマス公演のレッスンをして、終わると自分自身のまた練習と夕食は深夜になってしまっていた。チケットが大量に売れた事はオーナーからは感謝され、これで主役ができたらなんて夢見ていたら昨夜のジュンさんからLINEが届いていた。今夜また会えませんか?の内容だった。かなり遅い時間で宜しかったらと返信したら、即OKで昨夜のホテルのバーのカウンターで待ち合わせることになった。バレエ教室を早めに出て息を切らしながら弾む心はもうジュンの事しか無く、空腹で倒れそうになりながらも漸く最上階に辿り着いた。ハーハー言っていてはいけないと誰も居ないエレベーターの中で深呼吸した。そしてニッコリとしながら鏡に向かい、髪を整えながらバーのドアを開けたら既に彼が一人で飲んでいた。「ごめんなさい。お待ちになりました?」と隣に腰掛けながらウルウルの瞳で囁いたら「大丈夫だよ。待つのが趣味だから。」と微笑みながら、「何にする?カクテル?」と聞かれたら「ごめんなさい。夕食まだで。」と悲しそうに答えたら「オードブルにサラダ、サンドイッチにするね。」とバーテンダーに注文してくれた。「ありがとうございます。それにチケットも沢山購入頂き、何と御礼を言って良いのか分かりませんが、とにかく嬉しいです。有難いです。」と夢見る眼差しでジュンを見つめた。
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