クリスマス

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クリニックは青山のビルの中にあり、「ドクターは悪友だし連絡したから待たなくても診てもらえるから、僕は会社へ。申し訳ないけど、ここで降りて下さるかな。」ジュンは去って行ったが内科医は若く感じが良く「事情はジュンから聞いています。血圧OKだし、念のため血液検査しときましょうか。」本当に待たずに、あっという間に診察が終わってしまい、朝のバレエのレッスンはお休みして、午後からにした。夕方になり血液検査の結果は異常なしと電話がありホッとしてレッスンに打ち込むことができた。金曜の夜にはまたジュンと会う約束をしていたが、別のホテルで遅めのフレンチのコース料理だった。栄養つけなくてはとの事だった。金曜の夜が楽しみだった。心には彼しか存在していなかった。その日は少しオシャレをしてレストランへと心が弾んだが、着いたとたんに彼から急用できて遅くなるから一人で夕食をとラインが着た。ガッカリしてしまったが、レストラン支配人が「フルコースをお出しするよう承っております。」と丁寧な挨拶があった。ワインを選んでいたら、先日かかった青山の内科医が渚と入ってきた。お互いに驚いたが、急きょ三人でディナーとなり、華やいだ夕食会となった。 デザートになると内科医のヨシキは「ナナさんはスイーツはあまり食べられないのかな?」「ええ、アイスクリーム大好きなんですが、やはり公演前とかは禁止ですけど、打上げには沢山食べちゃってから後悔してます。」と三人は盛り上がっていた。「上の階のバーに飲みに行きませんか?」と誘われた。感じの良い爽やかな雰囲気の医者にまたお世話になるかもしれないからと断ることはしなかった。渚は「ごめんなさい先生、私、急用できたからここで失礼します。」と立ち去った。二人はエレベーターに乗り暗黒の世界へと登って行った。ナナは何も気づいていなかった。下の階の客室では渚がドアキーをかざし、ジュンと熱く抱き合っていたことを。バーのカウンターではまた二人は楽しげに語り合い、栄養剤だと渡された薬を飲んだあとまたフルーツやカナッペを軽くつまみ、また先日の夜のような眠気に襲われていた。そしてツインベッドの隣にはまた渚が眠っていたが、ほのかにジュンがつけているオードトワレの香りが漂っていたが、その時には気に留めずに何故またホテルのベッドにいるのかが気になっているだけだった。
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