クリスマス

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「ナナちゃん大丈夫?先生が心配して連絡貰い、幸い近くに居たからすっ飛んで来たのよ。先生が精密検査受けた方が良いかな?と心配してたよ。大学病院紹介するって。」ナナは「また渚に迷惑かけちゃって申し訳ないわ。二度もこんなことになっちゃって、でもクリスマス公演終わってからかな。」としょんぼり呟いた。「私のことは気にしないで、無料でホテルに泊まれたし、朝食も今から食べに行こうよ。先生にナナのこと連絡するわ。」昨夜はナナを薬で眠らせたが、情事の後の渚もセクシーに見えてベッドに押し倒そうとしたら拒絶され、「せっかくの獲物を取り逃すの?私を抱いたらナナに本当の事話すわよ。」と脅迫した。仕方なく「眠り姫を抱こうとしようか。」と呟きながら服を脱ぎ、ナナのワンピースのファスナーを下ろした。渚は「勝手にやってよね。」と憤慨しながら部屋を出た。しかし、ジュンはなかなか離婚してくれないし秋風が吹き始めているような気がして不安が漂い焦りを感じていた。ジュンがナナを遊びではなく、本気で愛し始めたような嫌な予感がして、ジュンには内緒でナナの身体をヨシキに有料で売っていた。女の嫉妬に火が付いた。もて遊ばれ汚れた身体になりジュンに抱かれたら良いんだわと醜い心は女の友情を切り刻んでいた。二人の男達は既婚者だったが、妻たちが諦めていて、家庭内離婚であり、妻達もホストクラブ通いやら囲っている男がいた。お互い干渉しない夫婦達だった。 ナナは真剣に身体の心配をしていた。下半身に痛みや違和感もあり女医の婦人科クリニックを受診したら、「性交渉はしばらくお休みしてね。」と言われて愕然となった。身に覚えなく言葉を失い、交際相手はいないと言えなかった。まさかあの気を失うような眠気の時にとはまだ考えられずに女医は勘違いしたのだろうとしか考えられなかたった。クリスマス公演を前にして稽古に励み、しばらくの間はジュンからは連絡がなかったが、ゲネプロの日には客席に来てくれていた。 終了後には声を掛けてくれて、「キミは主役が踊れる人だよ。」と囁いてくれた。 公演の打上げパーティーでアイスクリームを山盛り食べる約束をしてくれた。そして本番の日を迎え、『くるみ割り人形』は大成功を収めた。盛大な拍手は鳴り止まずに客席にはジュンもヨシキも渚もいて、楽屋には豪華な花束が並び、ジュンからは打上げ用のカクテルドレスも贈られていた。
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