悩めるあなたへ

4/9
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
 20歳の時。私は大学を退学し、アルバイトも辞めました。毎月振り込まれる父の遺産。例え何もしなくとも、生活費には困りません。  多少の贅沢をしても余裕がある程度の金額はありましたが、私はマンションに引きこもり、何もしませんでした。ただ、息をしていただけでした。  外の世界に楽しいことなど何もないと思ったのです。実際、部屋の外で楽しいことを経験したことがありませんでしたから。私は自分を責めました。私はどうしようもない社会不適合者だと。  私は毎日パソコンでインターネットをして自堕落に過ごしました。毎日がとても虚しく感じました。私が生きていることに何か意味はあるのだろうか。終わりのない自問自答の日々でした。  ある日、私はMMORPGというものを知りました。パソコンで遊ぶ、オンラインゲームです。私は自分を変えたいと思いました。せめてオンラインゲームの中でなら、人とコミュニケーションを楽しめるかもしれない。そうして自信をつけることができた時、再び外の世界へと踏み出そう。そう私は考えました。  私はアカウントを登録し、ゲームをインストールしました。そしてゲームにログインすると、自分のキャラクターを作る画面になりました。  今の自分のままじゃ駄目だ。明るく前向きな私になろう。そう思った私は、可愛らしくて明るいイメージの顔、服装、髪型を選んで自分のキャラクターを作りました。  ゲームの世界では、私は可愛くて明るい女の子でした。たくさんのプレイヤーが話しかけてくれました。私は明るく楽しく、彼ら彼女らとチャットをするように努めました。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!