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そうして私が23歳になった日。私は現実世界を捨てました。
オンラインゲームの世界は、たかがゲーム、でしょうか。ゲームごときにそんなにのめり込んでどうする、そういうものでしょうか。
いいえ。オンラインゲームの中にはたくさんの生きているキャラクターがいて、それは確かに人間です。私を慕ってくれる人達は、ゲームの中だけの同じセリフを繰り返すモブキャラクターではありません。それぞれ一人一人が生きた人間です。
そこは現実世界と何ら変わりありません。他のプレイヤーと楽しくいろんな話をして、共に協力し、共に成長し、共に何かを成し遂げる。けれど楽しいことばかりではなくて、人間関係があるからこそ時に拗れ、喧嘩や抗争が起きることもある。良い部分も悪い部分も含め、確かにそれは人間のコミュニティなのです。
私はそのゲームを初めてインストールした時、オンラインゲームは現実社会へ復帰する為の足掛かり、練習の場だと考えていました。しかし私にとってのオンラインゲームはそうではなく。
ゲームの世界こそが、私の生きるべき世界だったのです。
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