第二話 クマのぬいぐるみ

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 千聖が腰を折って挨拶すると、雷蔵は軽く手を挙げて帰っていく。強運とは、千聖が香奈美の友達であったことだ。これが何も手掛かりのない状態で、O県に遠出している香奈美を探すとなると、依頼の達成は不可能だっただろう。 (あんなに妹思いのお兄ちゃん、いいなあ……)  もう会えないとしても、香奈美は耕太郎の優しさを胸に抱いて生きていくだろう。悟に、彼の爪の(あか)(せん)じて飲ませたかった、と千聖は思った。
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