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最後の彼の言葉に客の反応は収まる。
「まじか……貴族が関わってて、嘘とか詐欺はねぇよな」
「ああ、そんなことしたら本人たちにデメリットしかねぇよ。商人ギルドで干されちまう」
「……ってことは、マジで交換してくれるのか?」
「とりあえず、大会を見てから決めようぜ。品だけはしっかり見ておこう」
そんな会話が聞こえてくる。
思わず小さくガッツポーズをしてしまった。
よし、まずは第一段階はクリアだ。
武器の性能に関しては、あの冒険者たちのお蔭で鉄製武具と遜色ないというイメージが出来上がった。
実際、性能は騎士団で試しているが、まず間違いなく同程度、いやそれ以上の筈だ。
さらに、武器の買い替えやメンテナンスが必要になる彼らにとって、新品交換システムは涎が出るほど望ましいはずだ。
武器に対して求められる条件が、一番が丈夫さで二番目に攻撃力だ。
丈夫さは当然クリアとして、攻撃力は、基本打撃武器として十分な威力を持っている。刺突武器などであれば、それこそ鉄製武器と変わらない。
なので、鉄剣を使うくらいであれば木刀でも問題ないはずだ。
もし重量が欲しいというのであれば、一応オーダーメイドでバスターソード風の大木刀も作れる。
だが、それを求める位であれば従来通りの鉄製品でも良い。
なので、ニーナ雑貨店はとにかく『軽い、安い、丈夫』で売っていく。
嵩張らないかどうかは、武器によって変わるのでキャッチフレーズには選べなかった。
城塞盾とか、めっちゃデカいもんね。
それから、暫く店内の様子を眺めた後、時折購入者がいる事や何やら不穏な雰囲気で品を見つめている、身なりの良い男がいたりと様々な情報が得られた。
その後、従業員には個人への販売は受け付けて構わないが、まとめての購入は在庫が少ない為不可能と答える様に指示しておく。
これで仮に、他領の貴族が調査で買いに来ても少しは時間を稼げる。
もし大人数で押し寄せて買占めをしようとしたら、少量売って、品切れで店を閉じてよい事にした。
まあ、後は強力過ぎる武器は大会でお披露目してからの解禁としてある。
投射機とかね。
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