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それから四日が過ぎた。
ニーナ雑貨店の方はトラブルもなく、売れ行きもさほど悪くないといった程度だ。
時折、トルティオとの繋がりを目的に声をかけてくる商会がいたが、それらの対応は店長代理として勤めているハルト君に任せている。
「お帰りください」
「なんだと!? この私自らが出向いているのに、この商会の会長は顔も見せないのか!」
「申し訳ございませんが、会長は現在急用でこの場におりません。ですので日を改めて――」
「貴様、先日も同じように追い返したではないか!」
「ええ、ですから実に間の悪いことで、大変申し訳なく思っております」
顔を真っ赤にして小太りの男が怒鳴り散らす。
この男は、ボンザという小さな商会の会長らしいのだが、アポなしで突然訪れて『私が良い金儲けの話を持ってきた、契約しないか』と持ち掛けてきたのだ。
最初は何かと思ったが、彼が持ち出してきた話というのは、王都にあふれる職のない子供たちを各地へ派遣し、仕事を与えるというものだった。
最初、その話を聞いて一種の慈善事業かなと思ったが、壁越しに話を聞くうちにその内容の怪しさがにじみ出てきた。
まず対象が、成人前の子供であること。当然ながら孤児どころか貧民街には働き盛りの大人もいる。
にもかかわらず、彼は子供だけに的を絞っている。
そのことをハルトが指摘してみると。
「大人に比べて、子供のほうが生活できる力が弱いですからね、そこは優先が異なります」
と答える。
まあ、それだけならば、と思い続けて聞く。
すると、仕事内容は主に現地で確認するということ。
昔、金に困って短日バイトをやったことがあるが、それでも何をするかは事前に伝える。
それをする予定もなく、現地に着いたらそちらの指示に従うとの事。
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