宣伝と開店(八歳児編)

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 ダウト。  子供を、身一つで各地へ送り出し、長期にわたって仕事をさせる。  期間は一年、もしくはそれ以上。  その報酬はボンザが預かり、王都へ戻った際に支払う。  環境次第では、子供は帰ってこないかもと示唆する。  その際の報酬は、ボンザが預かり『責任をもって』届けると言う。  壁越しでも、声の抑揚やタイミングで奴が言っていることが嘘だと、はっきりと分かる。  心理学スキルを使うまでもない、こいつはペテン師だ。  こいつは子供に金を払う気がない。  それどころか、俺の商会を隠れ蓑に仕事をする気でいる。  なんだよ。  言い方はご立派でも、やってることは人身売買じゃないか。  つまりは『孤児を各地に派遣(うって)、金を得る、孤児は帰ってこないかも』ということだ。  預かった金だって、何らかの偽装って可能性だってある。  実際に渡した金は、全体の一割にも満たないはした金で、殆どがこいつの懐に入るって事も考えられる。  ちなみにだが、この国では人身売買は禁止されているが、罪を犯したなどの理由あっての奴隷化は存在する。  だが孤児を金目的に売り払い奴隷へと落とさせる行為は、れっきとした違法行為、重罪なのだ。  この男はそんな危険な取引を、当たり前のように俺の右腕であり、店長代理であるハルトにどや顔で語った。  隣で俺たちが聞いているとも知らずに。  当然、ハルトはそんな危険な取引関わるつもりはないと断ったそうだが、こうやって毎日のように押しかけて『直接交渉させろ』と持ち掛けてくるのだ。 「ですから、会長は現在忙しい身で……」  はあ、とため息を吐きつつハルトがお帰り願うがボンザという男は、顔を赤くして机をバンと叩いた。  ちなみに彼らがいるのは客と交渉をする別室で、一般の客からは一切聞こえない位置にいる。  そして、俺は現在技能、聴覚強化をフルに使い話を満遍なく聞いている。  同室にいるキャロとアーリアも聞こえているようで、時折深い層に眉を顰める。 「しつこいなぁ……アーリア、衛兵呼んじゃおうか?」 「いえ、今現在では彼は『ちょっと、頭のおかしい面倒な客』という程度です。確かに怪しいですが、物的証拠がない限りどうとでも言い訳が出来てしまいます」
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