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ボンザが帰ったあと、ハルトは私のいる部屋にノックのあと入ってきた。
「お疲れさま、ハルト」
「いえ、疲れてなど」
「ありがとうね、ボンザの相手をしてくれて」
「いえ、滅相もございません。この店の店長代理という大きな任を任されている以上、ああいった手合いの対応も私の業務の一つ。苦ではございません」
うん、すごい模範的回答でびっくりだよ。
俺も昔、職場を見に来た社長に『お疲れさま』と言われたとき似たように答えた。
ちなみに俺の後輩は『ええ、疲れました』と答えたら、その後、上司に『お前の部下何考えてんだ!』と俺がなぜか怒られた。
部下の教育不足という体で俺が叱られ、当の本人は『災難でしたねー』と暢気にしていて、軽く殺意を覚えた記憶がある。
っと、俺のことはどうでもいいな。
とにかく彼の仕事っぷりに助られてるのは間違いない。ここはひとつホワイト企業目指して、しっかりと労うとするか。
「ハルト君が私の代わりに対応してくれたおかげで、ボンザへの対応や今後の方針が決まったよ。よく私まで通さずに止めてくれたね、いい判断だったと思うよ。ありがとうね」
俺が上司ってことで、威圧しないように笑顔を乗せて優しく言うと、ハルト君は顔を真っ赤にして。
「い、いえ! お、おおお嬢様の下で働けることは、わわわ、私にとっても幸せなことなのででで!」
えらい慌ててしまった。
……まだ、威圧感あったかなぁ。
おかしいなぁ。
首を捻っていると、彼は思い出したように一つの書類を取り出した。
「そういえば、この数日の売り上げを纏めてみました。良ければご覧ください」
おお、それは気になるね。
「うん、見せてもらうね」
受け取った収支を見ると、綺麗に纏められた文字で何が幾つ売れたのか、いくらの利益になるのか、在庫の数、入荷予定数などが事細かに記されていた。
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