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「うーん、やっぱり木刀が売れてるね」
「はい、以前冒険者が購入した際に実演を見た者のほとんどが購入に踏み切っております」
「大会での実演だけじゃなく、定期的に武具の実演会を開くのもありかもしれないね」
「ええ、私も同じように思います。即効性は望めませんが、リピーターの確保にもつながりますし、何より購入後のトラブルを避ける良い手段かと」
確かに、買ってから『話が違う』では困る。
実際に触れてもらって感想を聞き、なおかつその場で購入者の疑問や、不安を解消できる実演会はメリットが多い。
「うん、そうだね午前と午後一回ずつでいいと思うけど、必要を感じたらその時に合わせて、急きょ開くって感じでいいじゃない?」
「かしこまりました。冒険者はどうなさいますか? その場に居合わせた人に任せますか?」
「うん、出来たらそれがいいかな? 雇ったりすると費用がかかるし、サクラを疑われる可能性があるし」
「サクラ……ですか?」
おっと、こちらにはそういった表現はないのか。
「えっと、客の中にこちらの関係者を偽装して紛れさせて、商品を良い物のように見せかける人たちだよ。ほら、武器屋で誰かが一つの武器をひたすら絶賛してたら、誰だって気になるでしょ? そういうのを意図的に起こす人の事」
「ほう、そのような手段があるのですね。ですが、悪いことのように見えないのですが? それを聞いて購入するかは本人なのですし、別に強要してるわけでもありませんから」
「うん、そうなんだけど、怖いのがそのサクラをやってた人が後から『俺って実は金でやとわれてたんだ』ってどこかで漏らした時が一番怖いんだよね」
「……なるほど」
俺の言葉にハルト君は、腕組をして何度もうなずく。
さすがだよね、今まで聞いたこともない言葉の内容を初めて説明されて理解して、先ほどの会話だけで、俺が怖がる理由をもう分かったんだ。
「それが仮に起きると、どんなに優れた商品でも『今人気みたいだが、どうせまたサクラだろう』という先入観で、商品を見てもらえなくなる可能性がある、ということですね?」
「その通り、ハルト君正解」
ちょっと冗談を交じりにパチパチと手を叩いて褒めると、これまた嬉しいやら恥ずかしいやら、といった感じで顔を赤くした。
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