騎士団大会 二日目 前(八歳児編)

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 試合を終えた俺は改めて、黒翼騎士団の皆を控室に集めていた。 「見事ですね! 今回の作戦立案はだれかしら」  俺がそう言うとミリアリアとポッドが手を上げた。  その顔は『やり切った顔』であって、実に満足げだ。きっと二人も褒めて欲しいのだろうな。  なるほどなるほど。  俺は二人にゆっくりと近づいて両手を伸ばす。  その手は頭の上に置かれるかと思いきや、二人の頬に伸ばされた。  むに、と指で摘まんで横に引っ張る。  それも結構な力を入れて。 「いひゃい! いひゃい! いひゃい!!」 「ふぇぇええええええっ!?」  二人とも悲鳴を上げる。 「どっちですかあの武器を考案したのは!? あんな危険な物を試合でぶっつけ本番で使うなんて! しかもオr――ごほん、私に秘密にしていたでしょう!!」  思わず俺と言いかけたが、すぐに言い直したことで誰も気にしていなかった。  むしろ俺が怒っていることの方が衝撃だったようだ。  アーリアやアシュレイが唖然と言った顔で固まっている。 「なんれれふかぁ! かっふぁのひぃ!」  ミリアリアが引っ張られながらも抗議してくる。 「いふぁいぃ~~~」  ポッドも涙目で必死に耐えている。  子供ゆえの柔らかい頬が餅の様に伸びる。  うむ、これはこれで癖になる感触だ。  指をぱっと話すともちもちの肌がポヨンと元に戻る。  二人は赤くなった頬を擦りながら、涙目で見上げて来る。  すると唖然としていたアーリアとアシュレイがハッとした様子で前でに出て、説明を開始する。 「お嬢様はあの兵器が出た時、本当に驚いていたのですよ? それも途中から貴方達の心配ではなく、試合相手の心配をしている様子でした」 「えっ」  その言葉に、少年組だけでなくルーファス達も驚いていた。  彼らもあの兵器の脅威に気付いていなかったようだ。  溜息を吐きながら俺は説明を開始する。 「そもそも、あの兵器……バリスタと呼びましょうか。アレの原案は私の中にありました。ですが、あまりにも強く危険な為作成を止めていたんです」  俺がそういうと目に見えて、騎士たちが焦る。 「そ、それほどの物なのですか?」 「平たく言えば、バリスタは投射砲を巨大化させたものです。おそらくアレを思いついたのは同じ観点からでしょう?」  そういうとミリアリアが頷く。  どうやら真っ先に思いついたのは彼女らしい。
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