1598人が本棚に入れています
本棚に追加
試合を終えた俺は改めて、黒翼騎士団の皆を控室に集めていた。
「見事ですね! 今回の作戦立案はだれかしら」
俺がそう言うとミリアリアとポッドが手を上げた。
その顔は『やり切った顔』であって、実に満足げだ。きっと二人も褒めて欲しいのだろうな。
なるほどなるほど。
俺は二人にゆっくりと近づいて両手を伸ばす。
その手は頭の上に置かれるかと思いきや、二人の頬に伸ばされた。
むに、と指で摘まんで横に引っ張る。
それも結構な力を入れて。
「いひゃい! いひゃい! いひゃい!!」
「ふぇぇええええええっ!?」
二人とも悲鳴を上げる。
「どっちですかあの武器を考案したのは!? あんな危険な物を試合でぶっつけ本番で使うなんて! しかもオr――ごほん、私に秘密にしていたでしょう!!」
思わず俺と言いかけたが、すぐに言い直したことで誰も気にしていなかった。
むしろ俺が怒っていることの方が衝撃だったようだ。
アーリアやアシュレイが唖然と言った顔で固まっている。
「なんれれふかぁ! かっふぁのひぃ!」
ミリアリアが引っ張られながらも抗議してくる。
「いふぁいぃ~~~」
ポッドも涙目で必死に耐えている。
子供ゆえの柔らかい頬が餅の様に伸びる。
うむ、これはこれで癖になる感触だ。
指をぱっと話すともちもちの肌がポヨンと元に戻る。
二人は赤くなった頬を擦りながら、涙目で見上げて来る。
すると唖然としていたアーリアとアシュレイがハッとした様子で前でに出て、説明を開始する。
「お嬢様はあの兵器が出た時、本当に驚いていたのですよ? それも途中から貴方達の心配ではなく、試合相手の心配をしている様子でした」
「えっ」
その言葉に、少年組だけでなくルーファス達も驚いていた。
彼らもあの兵器の脅威に気付いていなかったようだ。
溜息を吐きながら俺は説明を開始する。
「そもそも、あの兵器……バリスタと呼びましょうか。アレの原案は私の中にありました。ですが、あまりにも強く危険な為作成を止めていたんです」
俺がそういうと目に見えて、騎士たちが焦る。
「そ、それほどの物なのですか?」
「平たく言えば、バリスタは投射砲を巨大化させたものです。おそらくアレを思いついたのは同じ観点からでしょう?」
そういうとミリアリアが頷く。
どうやら真っ先に思いついたのは彼女らしい。
最初のコメントを投稿しよう!