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移動中、人気の少ない場所でアーリアに怒られました。
怒鳴られたり、キツイ言葉を言われる訳でもなく、優しい言葉ではあったがそれでも『お嬢様は大変可愛らしい女の子なのですから、もう少し言動にはお気を付けください』と言われてしまった。
キャロとアシュレイも何かを言う分けでないが、それでも同意するような視線を向けて来た。
「ごめんなさい……気を付けます」
ここで初めて気づいたのだが、俺の言動がどう見ても逆セクハラだったらしい。『優しくして』とか『血が出ちゃう』とかのワードを年頃の女の子が口にするもんじゃないと怒られた。
……そうだよね、俺もソーヤくらいの頃はちょっとしたワードで悶々としてたわ。ちょっと気が利かなかったね。すまん、三人とも。
だけど俺としてはアシュレイの裏工作というか、裏交渉で危ない事をしないでほしいのだが……。
若干しょんぼりしたまま騎士団控室に到着すると、騎士団のみんなに何事かと慌てられてしまった。
流石に『男の子たちに逆セクハラして怒られた』なんて言えるはずもなく、それとなく誤魔化しておいたが、宥めるのにまさか十分かかるとは思わなかった。
「ごめんなさい、心配をかけて」
「いえ、何事もなかったようで良かったです。てっきりまたあの男がお嬢様に何かをしたのかと……」
彼の言葉に思わず眉を寄せてしまった。
「……何かあったのですか?」
「それは……」
ルーファスも問われて、しまったといった顔をするがすぐに諦めて答えてくれた。
なんでも、あの糞ロリコン野郎が俺に会いたいと何度も交渉してきていたらしい。
三回目の試合直後から今に至るまでの間、計五回も。
しかもその内容の殆どが『私も貴方の婚約者候補に立候補したい』という実にふざけた内容だった。
どうにもキールやクラインが候補者になった事を聞きつけて『かの美しいお嬢様を一目見た時から是非妻にしたいと思って居りました、身分の差はあれどこの思いに嘘はございません』とこれまた言葉だけを聞けば、真摯なプロポーズに聞こえる言葉を吐いていたそうだ。
俺を初めて見たときって、お前馬車の中で薬漬けにした女の子とイチャイチャしてたじゃねぇか。
この世界で婚約者を作るにあたって、年齢差と言うのはさほど大きな障害にはならない。
というか、同格の侯爵家であるソルダートですら父様としっかり顔合わせをして、その上で俺に聞いてきたってのに、いきなり俺への直談判とか馬鹿にしてんのか。
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