知らなかったのか、ガチャからは逃げられない。

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 コイツナニイッテンダ?  能力がガチャって意味わかんねぇにもほどがあるぞ。 「あれぇ? 反応薄いな、結構すごい能力なんだよ?」 「何がすごいんだよ。死ぬ直前までガチャやってて、異世界でもガチャをやれってどういう事だよ」 「うーん、君が生前最も楽しんでた遊びだから、気に入ると思ったんだけどなぁ」 「あのな、アレはレアリティの高いものをコンプするから収拾欲が満たされて楽しい訳で、向こうでソシャゲしたからなんだってんだよ。って言うか向こうにスマホあるのかよ」  仮にスマホがあったとしても、ソシャゲを運営する会社が無いだろ。  剣と魔法がメインの世界でソシャゲが流行るとは思えない。 「いいの? ガチャで才能手に入れられるよ?」 「…………ちょっとまて、どういうことだ。ガチャで手に入れた物がリアルに影響すんのか?」 「当たり前でしょ、僕の頼みを受けてくれる子にゲーム一個渡しておしまいな訳ないでしょ」  確かに言われてみればその通りだ。  ガチャと聞いてついゲームと思ってしまったが、デウスは特殊能力としてくれると言っていた。  つまりガチャその物が俺の能力になるのか! 「お、勝手に理解してくれたみたいでありがたいね。説明が省けるよ。詳しい事はこの手帳を見てくれるとどういう物かわかると思うよ」  手の平サイズの手帳を受け取り、中身に目を通す。  そこには『ガチャを行うにあたって、リィンソードの通貨が必要』と書かれていた。 「……有料?」 「まあ、能力をお金で買えると思えば安いでしょ?」 「その金はどこに行くのさ」 「……僕のお財布」 「ふざけんなよ! 何でお前の仕事をするのにお前のお小遣いまで稼がなきゃならねぇんだよ!!」 「だ、だけどその代わりに僕の部下の権能に干渉して、君は様々な恩恵を得られるんだよ!?」 「たとえばどんなの」 「え、えっと、魔法の才能とか……剣の才能……あと武器や防具だって手に入るよ?」 「……それを売って、その金でまたガチャを回すのは?」 「もちろんOKだよ」  ……たしかに、ちょっとカッとなったがそれほど悪い条件じゃないのか?  初めから全てを持つチートなんて聞いたことないし、金さえあれば強くなったりする可能性を得るって事だ。  悪い話じゃない、むしろ美味すぎる話だ。
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