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ならば、気を使っても仕方が無い。俺は俺なりに好きにやらせてもらおうと思う様になった。
普通の恋人の様にしてられればどんなに楽かと思う。
「で、今回は何なんだ?」
手に装着された手錠を苦々しく思いながら聞く。
「んー?何なんだろう。俺にも分かんないや。」
ニコニコと笑いながらベッドに乗り上げる男、義人に睨む気力も無くため息を一つついた。
俺の恋人は頭がおかしい。恐らく大切なネジの1本か2本落っことしているのだろう。
「で、ダーリンは俺をこれからどうするんだ?」
面倒になって訊ねる。
「んー?とりあえず俺の事だけ見る様にしたいなぁ。」
「は?そんなのとっくの昔にそうさせられてんだろ。」
「へ?!」
「は!?」
何言ってるんだこいつは。俺の体を無理矢理開かせて、俺の全てを持っていって、何言ってるんだよ、本当に。
そこで、照れたりすれば可愛げがあるんだろうけどこいつはやはりかなりおかしい。
「ふふ、ふははははは。」
大声で笑う義人の目は狂気にまみれていた。
その狂気ごと好きだと思ってしまう俺も、もう大概おかしいって事は、俺が一番よく分かっている。
END
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