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私は何不自由なく、幸福に暮らしていた。
公爵家という高位の貴族に生まれ、王太子の婚約者という他の令嬢達の憧れの地位。
けど生まれ持った権力に溺れず、その地位に相応しくあるように努力を惜しまなかった。
跡継ぎである弟との仲も非常に円満で、寧ろ仲が良すぎると周りに言われる位。
仲の良い友人も多くいたし、王子の側近達とも、将来共に王子を支える者として互いを認め合っていた。
恵まれない者達への施しも積極的に行っていたので、国民達にも好かれている。
人は私をまるで聖女のようだと、そう評した。
私の人生は明るかった。
だが、そんな幸福はある日現れた1人の女によって、全て壊された。
その女は元は平民だが、男爵の養女として私達が通う学園に入学してきた。
勿論、貴族としての常識は何一つない。
食事中に大声で喋ったり、廊下を大股で走ったり、学園に飾られていた美術品を壊したりと、行く先々で問題をおかした。
その度に上位貴族として、私が注意をしたが聞く気がないのか全く改善されない。
だが、それは大した問題ではない。
不愉快ではあったが、あくまでその程度にしか思わなかった。
1番の問題は、あの女はあろうことか、私という婚約者のいる王太子や私の弟、王太子の側近達を誘惑し始めた事だ。
彼等に共通して言えるのが、整った容姿と強い権力。
皆、優秀で将来を期待された少年達であった。
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