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3話
他に人気のない廊下。
いつもは使われていない筈の教室に、2人は居た。
「私、貴方が好きなんですっ! 婚約者がいると分かっているのに、それでも好きなのを止められないんですっ!」
「俺も……俺もお前が好きだ」
入学式から3ヶ月後の今日、王太子とあの女はついに心を通わせたらしい。
今回、あの女は舞踏会の日に私に近付く事はなかった。
流石に私を警戒したのだろう。
そのわりに、虐めや嫌がらせは私にやられたと王太子達に言っているようだが。
あの女がのたうち回る様が愉快であったので、もう一度同じことをしようと考えていたのに残念だ。
だが、これからまた何度も繰り返すのだ。
それはまた次の機会にでもやればいい。
私は予め隣の教室に用意していた箱から、液体の入った瓶を取り出した。
今日、2人がこの教室に来るのは分かっていた。
色は前回と同様に無色透明、けれど中身は別物だ。
中身を開けると、強烈な嫌な臭いが鼻をつきさす。
私はそれを2人のいる教室の周囲にばらまいた。
念入りに隙間なく、決して逃がさぬよう。
教室内の窓は、既に開かないように細工してある。
後はこの外へと続く扉を、開かないようにするだけだ。
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