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4話
「あぁ、こんな所に居たのか。探したぞ」
「……殿下」
始まりの日に巻き戻り、ぼうっと窓の外を眺めていた私に王太子が声をかけてきた。
あの女は学園から姿を消した。
だから、もう此処には居ない。
けれど、最後に見たあの目。
あの女から私の元へとやって来るかもしれない。
そうしたら、やっと、やっと私は望んだ結末に辿り着ける。
「……どこか、体調が悪いのか?」
気遣わしげな視線を私に向ける王太子。
あの女が来るまで、私達の仲は良好だった。
そのまま結ばれるのだと、誰もが思っていた筈だ。
「いいえ? 寧ろ、気分はとてもいいんですのよ?」
別に来なくてもいい。
また私があの女を殺すだけだから。
まだ私は待っていられるから。
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