0人が本棚に入れています
本棚に追加
兄さんが戦地に旅立ってから5年の歳月が経った。
あの後、戦争は増々酷くなり、僕が住んでいた街も空襲に遭ってしまい焼け野原となってしまった。
兄さんも矢張り、帰っては来なかった。
戦争が終わった二年後に戦死報告の手紙が家に届いた。
その報告の手紙と共に兄さんが最後に飛行機整備士に渡したであろう家族写真が封入されていた。
そして今、僕は最後に兄さんと約束した事を果たすために兄さんと婚約するべきだった女性の所へと来ていた。
手紙を渡すために。
兄さんとの「必ず」という事を守るために。
例え、小さな約束だとしても。
貴方の生きた証を残すために。(了)
最初のコメントを投稿しよう!