兄との約束

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暑い日の出来事であった。 兄のもとに赤い手紙、通称「赤紙」が届いたのは。 その場にいた母や父、祖父母は皆、喜んでいた。 でも、その喜びに「笑顔」はなかった。 僕は赤紙をじっと見つめ、銅像のように固まっている兄に声をかけた。 「大丈夫だよ、心配してくれてありがとうね。」 兄のその『大丈夫』という言葉は全然、大丈夫そうには聞こえなかった。
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