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その日の夜。
いつも食事をしている机には、普段見ないような豪勢な食べ物ばかりが並んでいた。
「お国の為に戦地へ行く昴への祝いだ。」
父は豪勢な食べ物を目の前にし、静かにそう呟いた。
「ありがとうございます。」
兄は父にそう返すと、僕の顔を見て「何か考えてるのか?」と言った。
考えている、と言われればそうかもしれない。
もうすぐ二度と帰ってこれない戦地に行くかもしれない兄を目の前にして、何も考えない人間なんていないと僕は思った。
すると、そんな僕を見て兄は「後で俺の部屋に来い。」と僕の耳元で、そう呟いた。
それは父や母、祖父母に聞こえないような声でだった。
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