兄との約束

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その翌日、兄は二度と帰れない場所へと汽車で向かった。 駅の乗降場には「日の丸」を持った沢山の人がいた。 兄は何も言わず、敬礼だけをして汽車に乗り込んだ。 僕はその様子をただ静かに見ているだけであった。 そして汽車は動き出す。 二度と帰れない場所へと多くの若者を乗せて。 汽車が駅から去ったあと、乗降場では泣き崩れる人が沢山いた。 僕の母親もその一人だった。 その様子を僕は唇を噛みしめながら見ていただけだった。
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