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じゃれ合いそして笑い合いながら会話を広げる、そんなすばると大地に向けて嵐士は無慈悲な一言を放った。
「「えッ!?」」
2人は動作を止め、一言叫ぶと同時に驚愕の表情を浮かべながら同じタイミングで嵐士の方へと顔を向けた。
「嵐士…オマエ今、何て言った?」
「俺はプロへは行かない。…と言うよりも行けない」
「……プロ志望をしないのか? オマエ程の選手が? …何故だ? 理由を教えてくれよ」
プロへと進み、その大舞台での嵐士との再戦を信じて疑わなかった大地とすばるは厳しい表情を浮かべながら嵐士へと滲みよる。
「俺は物心着いた時から、高校野球…甲子園での優勝を目指してひたすら投げ込みを続けて来たんだ。プロへと行く事も世界戦で投げる事も…全く見据えていなかった…ずっと、高3の夏の甲子園が俺の終着駅だと思っていたんだ。…だからここまで形振り構わず全力で投げ続けてきた俺の両腕は既にボロボロなんだ。こんな状態だとプロに行った所で何の結果も残せないと思う。…だから俺の野球はここまでだ」
嵐士の言った事にすばると大地の2人は何も言う事が出来ずに黙り込んでしまった。
「そうか…それじゃぁ仕方が無いな…。プロでのオマエとの再戦…楽しみにしてたんだけど…なぁ? すばる」
「うん…。でも残念だなぁ…」
2人は落ち込んだ表情を浮かべながらもその現実を受け入れた。
「2人共ゴメンな。オマエ達なら必ずプロに行ける。絶対にドラフトで指名されるから…だから、俺の分も頑張ってくれ。そして、忘れるなよ?」
「「何を?」」
「俺はこれからもずっと、イヤ、一生…オマエ等のファンだからな!」
嵐士は拳で2人の胸元を軽く叩く。胸を叩かれた2人は一瞬驚いた表情を見せ固まったが、すぐに表情を緩め
「それはこっちの台詞だよ! ニ投流の涼風嵐士、俺は…俺とすばるはオマエに惚れ込んでいるんだからな!」
「大地の言う通りだよ! 俺達の方こそ野球の大天才、涼風嵐士の一生のファンなんだよ!」
すばると大地の2人は嵐士の胸を拳で叩き返し、それぞれの思いの丈をぶつけた。
「…大天才…はオマエ等の…方だろうが……」
そして
3人は肩を抱き合いながら
最高に熱くて楽しかった高校野球が終わってしまったと言う事実を受け入れると同時に、大粒の涙を溢したのであった。
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