八投

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八投

「アレ? ちょっと待て、俺等の高校って国体に選ばれているよな!?」  突然、とても大切で大事な何かを思い出したかの様に嵐士が叫んだ。 「あッ!?」 「そう言えば……そうだよな、国体に出るメンバーは秋季大会に出る1、2年生では無く、引退した俺等3年から選ばれる事が殆どだから…アレ?」 「俺達はまだ戦える可能性があるって事…だよな?」 「え? 嵐士…あれ?」 「イヤ、大地…あレ??」 「イヤイヤ、すばる…アれ???」  国民体育大会  それは毎年9月の終わりから10月の初めにかけて本大会が行われるスポーツの祭典。野球以外にもサッカーや陸上、バスケットボールにバレーボール等たくさんの競技や球技が開催される。  今年は滋賀県でその祭典が開かれる事となり、硬式野球は9月30日から10月3日にかけて行われる事が決定していた。  1、2ヶ月前とは打って変わって湿気が無くなり、過ごしやすい気候となった9月30日。国民体育大会での硬式野球の試合が始まった。  この日1回戦を勝ち抜いたのは華巻大付属、習凌総合、大阪統学院に主催県からの出場校である桜実東であった。  しかし  翌日、翌々日に続く準決勝と決勝であったが…天候に恵まれず試合は中止となり、結果  4校の同時優勝が決まった。  その選ばれた者達だけが戦える、正真正銘の引退試合である国体から半月後  プロ志望届を提出していた星野すばると花吹大地は、緊張した面持ちでテレビカメラの前でその指名を待っていた。  そして待つ事数分    すばると大地の2人は共にプロの球団から1位指名を受け、高校卒業と同時にプロの道へと進む事が決定した。  良かった…本当に良かった。2人共頑張れよ。必ず応援に行くからな…  すばると大地の2人が指名を受けた瞬間をテレビの生中継で見ていた嵐士は  その指名を受けた者がまるで自分の事の様に歓喜に打ち震えながら、すばると大地が持つ携帯電話へ向けて  「おめでとう」のメールを送った。
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