三投

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 少年野球チームに入り、きちんとした指導を受ける様になった嵐士の実力はどんどんと上がって行った。  厳しい練習をサボる事も無く監督やコーチの教えを忠実に守りその教えを柔軟に吸収し、練習の無い日でも快晴と二人三脚で身体を鍛えながらの自主練。  そんな毎日を繰り返しながら年数を重ねて行った。  そして快晴が小学校を卒業し、嵐士が小学5年生を迎えた日から約半年後、暑い夏を乗り越え少しばかり涼しくなってきた空が高くなる10月。    嵐士の初となる大きな大会が開催された。  それは次の年の主軸となる選手達による秋の新人戦。  その大会に出場するチームは自分達の実力を相手へと知らしめる様、全力を持って戦いに臨んだ。  しかし、そこは過酷な勝負の世界。相手の力に後一歩及ばなかったチームは一つ、又一つと姿を消していく。  その厳しい戦いの中  嵐士の所属するチームは準決勝まで勝ち進む。  しかし、惜しくも敗退を喫する事となるのだが、その後に行われた3位決定戦では見事勝利を果たした。  その秋の新人戦で勢いづいた嵐士のチームは、それからも数々の大会で上位の成績を収め  小学6年の冬に行われる最後の大会では見事優勝を掴み取る事ができ、そして嵐士はその大会のMVPに選ばれた。  その2ヶ月後    中学生となった嵐士は地元の中学校に入学すると同時に、既に快晴が所属している地元の名門の硬式シニアチームに入団する。  前の人生では、兄である快晴はこのチームでも投手を務めていたが、シニアに入ると同時に捕手へと転向していた。これはいずれ入って来るであろう、投手の才能に満ち溢れた弟とバッテリーを組む為であった。     
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