三投

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 ……危ねぇ~。これからは言葉遣いも気を付けないとな。子供の頃の言葉遣いなんて覚えていないよな~…。そもそも俺は今何歳なんだ?  今の西暦と何月何日かを親に訊ねても驚かれるだけだろう。嵐士は何か今日の日付の手掛かりになる物が無いかと周りをキョロキョロと見回した。  するとテーブルの上に新聞が置いてある事に気付く。  そうか、新聞になら西暦も年月日も印字されているな。  嵐士は手を伸ばし新聞を掴み自分の側へと寄せる。新聞に印字されている本日の日付を見ると19××年8月12日 となっていた。  という事は…俺は3月生まれだから今2歳と半年位という事か。快晴は5月生まれの2歳年上だから…今は5歳と3ヶ月位か。  ようやく「今」の西暦、年月日。そして自分の年齢がわかった嵐士は少し落ち着きを取り戻し、母親が用意してくれた朝食を食べ始めた。  朝食を食べているとテレビの置いてある方向から聞き慣れた歓声が聞こえてきた。 「ん?」  テレビの方へと眼を向けると、その画面の中で甲子園の試合が流れているのが眼に飛び込んで来た。  …甲子園!? そうか、今は8月12日。甲子園の真っ只中か!  甲子園の試合の生中継がやっている事に気付いた嵐士は食事もそこそこに椅子から飛び降り、テレビの前へと走り寄って行った。  うおぉぉぉ、甲子園の特集番組の昔の映像でしか見られなかった様な試合だ。あ~…この選手! すげぇ…生で見られるなんて感動だ! へぇ~…この時代はこの高校が強いのか…。それよりも早く! 早くレコーダーに録画しないと  …ってレコーダーなんてある訳ないか。  嵐士は高校球児達の熱い夏の戦いを見る事に集中しようとしたのだが  先程から視界の端でチラチラと動く影に気付きその方向へと視線を向けた。  嵐士の眼に映った物は、テレビの前で今映っている投手の動きを見ながらボールの投げ真似をしている快晴の姿だった。 「あらあら、本当に快晴は野球が好きねぇ」 「うん、僕は大きくなったら甲子園に出てそしてプロ野球選手になるんだ!」  !!  嵐士に一つの考えが過った。
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