二投

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二投

「大変厳しいこの暑さの中、今年は横濱大学付属高等学校(よこはまだいがくふぞくこうとうがっこう)が深紅の大優勝旗を手にしました! その大優勝旗は横濱大学付属高等学校野球部の主将(キャプテン)玉場(たまば)に贈られます」  その後、両校の選手にメダルが送られ  閉会式は終わり、両校の選手達の行進が始まった。  テレビのスピーカーからは毎年夏に大きな夢の舞台で行われる、若者達の汗と涙の戦いの締めくくりにふさわしいBGMが流れ出す。 「今年の甲子園も終わってしまったか…」  仕事のシフトの関係上この日が休みだった為、運良く甲子園の決勝戦をテレビの生中継で見る事が出来た、高校野球をこよなく愛する 「涼風嵐士(すずかぜあらし)」 は、飲んでいたお酒の缶をテーブルの上に置き寂しそうな口調で呟いた。 「高校野球が終わってこれ程までに寂しさを感じるなんて、昔は考えられなかったな…」  嵐士は両手で組んだ掌に頭を乗せる形で床に寝ころびながら呟いた。  学生時代は全く興味が無かった高校野球だったが、社会人になり多忙な毎日を過ごす中で学生時代の事を思い出し、丁度放送されていた夏の高校野球を見た事から懐かしさも相まってか、その世界にのめり込んでいった。  今ではテレビで放送される、夏の地方予選から甲子園決勝までの試合と春の選抜、その全てをレコーダーで録画する程になっている。
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