序章

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序章

5歳くらいだろうか。 小さな女の子を抱きしめる女性を見た。 新幹線の改札口の前。 壁際で床タイルに片膝(かたひざ)を付き、女の子を強く抱いて頬ずりをしている。 女の子はくすぐったそうに笑っている。 ふたりの関係は分からない。 ただ、その女性が女の子のことを、とても愛おしく思っていることは伝わってくる。 温かで柔らかな頬の感触。 腕の中にある命の存在。 それらを確かめながら、 ───大好き。愛してる。 女の子を想う気持ちを、全身から溢れ出させている。
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