1179人が本棚に入れています
本棚に追加
/612ページ
序章
5歳くらいだろうか。
小さな女の子を抱きしめる女性を見た。
新幹線の改札口の前。
壁際で床タイルに片膝を付き、女の子を強く抱いて頬ずりをしている。
女の子はくすぐったそうに笑っている。
ふたりの関係は分からない。
ただ、その女性が女の子のことを、とても愛おしく思っていることは伝わってくる。
温かで柔らかな頬の感触。
腕の中にある命の存在。
それらを確かめながら、
───大好き。愛してる。
女の子を想う気持ちを、全身から溢れ出させている。
最初のコメントを投稿しよう!