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私は着替えと最低限の化粧をして、乱れたベッドを整えテレビを消した。
ようやく、紀貴さんを部屋にあげ、暖かいお茶を用意しようとしたら、紀貴さんに先にやられてしまった。
二人ともソファーに座り、お茶をひと口飲んだ後、少し沈黙が流れた。
話を始めたのは紀貴さんが先だった。
「体調悪いところに押しかけてごめんね」
紀貴さんは多分、私の嘘が分かっている。
「大丈夫です。でも、連絡してくれたらよかったのに」
「うん。でも、そうしたら断られる気がして」
困ったように苦笑いしてる。私は紀貴さんの顔をちゃんと見れなかった。
「……泣いてた?」
やはり薄化粧では目の腫れは隠せなかった。私は観念した。
「はい」
「理由、聞いてもいいかな?」
言えない。言ってしまったら、全てが終わりそう。
「……すごく言いづらいです」
「多分、僕に関することだよね?」
図星だ。
紀貴さんを相手にこのままやり過ごすことなんて、兎がライオンに戦いを挑むくらい無謀だ。
「わかりました。……話します」
私が先日目撃した一部始終を全て紀貴さんに話した。
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