雨のち晴れ

1/7
198人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ

雨のち晴れ

 10月の土曜日午後2時  朝起きてからテレビをつけて、やる事もなくだらだら過ごしている。気分はどん底。  今日は2週間ぶりに彼と会う、はずだったのに。  外を見れば雨は風に煽られ、ガラス窓に強く打ちつけられていた。  私の不幸を空があざ笑っているようで。  思わずため息が出た。  「はぁ、最悪」  今日もまたずっと泣いていた。  全てはあの女性のせいにしたかった。  でも、原因はむしろ自分だと薄々感じている。  彼氏が先日、元カノと2人で会っていた。勤め先からの帰り、私は幸か不幸かその場面を目撃てしまった。  元カノの方はやけに嬉しそうで、彼氏はいつも通り優しそうで。  傍から見たら良い雰囲気のカップルにしか見えなかった。  前に一度だけ彼氏の友達から元カノの写真を見せてもらったことがある。私はかなり驚いた。 超がつくほど美人だったのだ。しかもモデルをやっていたとかないとか。  彼氏は私に元カノの話はほとんどしない。私からもなんとなく察して聞いたりはしない。  ただ、あの写真と友達からの話で元カノの人柄を聞いたとき、なぜ分かれてしまったのか不思議だった。私よりもずっと魅力的な女性なのに。  振ったのか、振られたのか。それで私?いや、タイプが違いすぎる。  どちらにしろ、私は飽きられたんだ。  付き合い始めてから早くも1年が経ち、4才年上の彼は出会った時から今でも変わらない。優しくて賢くて笑顔が素敵な人。  綺麗だとか頭がいいとそういう取り柄が特にない私には、勿体ないくらい素敵な人。  だから、いつか愛想を尽かされるのではないかと心の隅で思ってた。  いざそうなると、胸が痛い。  どんな顔をして会えばいいのかわからなくて、楽しみにしていたデートは自分から断った。  具合が悪いと嘘をついて。  そうしたら天気が崩れた。今もどんどん雨風が強くなっている。  もうこの際、天気なんてどうでもいい。  ベッドの上に寝そべり今日何度目かのふて寝をしようと目を閉じた。  その時だった。  玄関のベルが鳴った。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!