11.春の嵐

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   二人とも手持ち無沙汰になった。それでもまだ2時7分前。 「はぁ……」  蓮の大きなため息にテーブルにうつ伏せしていたジェイの顔が上がる。 「どうしたの? やっぱりお腹空いたの我慢出来ない?」 「お前、胃カメラなんか飲んだこと無いよなぁ……」 「無いけど。そういえば胃カメラって、ホントにカメラ飲むの?」 「そうだよ、小さいけどな」 「どんな感じ?」 「最低な感じ」 「最低って?」 「俺はだめなんだ、飲むのが下手で」 「飲んだことあるの!?」 「R&Dが出来た年にな」  表は豪胆に振る舞っていたが、あの頃は酷く大変で、とうとう大滝に病院に突っ込まれた。その時に胃カメラを飲まされている。結局大したことは無かったが。  インターホンが鳴り、ジェイが立った。 「はい……イチさん!? 今開けます!」 「イチさんが来たのか……」 「ん?」 「逃がさないってことだよ」  今さら逃げられやしないのに。 ――ピンポーン 「はーい」  ジェイは久しぶりのイチに会えるのが嬉しい。 「久しぶりですね、少しは元気になりましたか?」 「うん! 前より……カジさんも!」  蓮は呆れた。 (カジさんまで……逃げないって) よほど蓮が抵抗するとでも思ったのだろう。   
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