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二人とも手持ち無沙汰になった。それでもまだ2時7分前。
「はぁ……」
蓮の大きなため息にテーブルにうつ伏せしていたジェイの顔が上がる。
「どうしたの? やっぱりお腹空いたの我慢出来ない?」
「お前、胃カメラなんか飲んだこと無いよなぁ……」
「無いけど。そういえば胃カメラって、ホントにカメラ飲むの?」
「そうだよ、小さいけどな」
「どんな感じ?」
「最低な感じ」
「最低って?」
「俺はだめなんだ、飲むのが下手で」
「飲んだことあるの!?」
「R&Dが出来た年にな」
表は豪胆に振る舞っていたが、あの頃は酷く大変で、とうとう大滝に病院に突っ込まれた。その時に胃カメラを飲まされている。結局大したことは無かったが。
インターホンが鳴り、ジェイが立った。
「はい……イチさん!? 今開けます!」
「イチさんが来たのか……」
「ん?」
「逃がさないってことだよ」
今さら逃げられやしないのに。
――ピンポーン
「はーい」
ジェイは久しぶりのイチに会えるのが嬉しい。
「久しぶりですね、少しは元気になりましたか?」
「うん! 前より……カジさんも!」
蓮は呆れた。
(カジさんまで……逃げないって)
よほど蓮が抵抗するとでも思ったのだろう。
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