11.春の嵐

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   実は確かにそんな気がした。あまりにも久しぶりだったから。けれど、それは裕子のことじゃない、この手のドラマのことだった。 「勘違いするな、久しぶりにこんなの見たからそれが懐かしかっただけだ」  ジェイの目に嫉妬が煌めいていて、それがあまりにも綺麗に見えた。  セックスの回数が増えた分、ジェイには前にも増して色香が漂うようになってきた。本人には自覚が無いが。  気がつけば腕の中でジェイが暴れていた。 「やだ! こんなのをキスで誤魔化さないで!」 「違う、お前があんまり綺麗だから……」 「嫌いだ、蓮なんか!」  その口を塞いだ。落ち着いてきたのを感じて唇を離した。 「嬉しいよ、妬いてくれて」 「ホントにドラマが懐かしかっただけ?」 「そうだよ。言われるまで彼女の顔も思い出さなかった」 「……分かった。信じる。俺しか見ちゃ嫌だ」  独占欲丸出しで…… それが何より可愛らしい。 「分かってるよ、お前だけが恋人だ」  恥じらうように俯いたジェイの頬にキスをして立ち上がった。 「シャワー浴びなきゃ。迎えが来ちゃうからな」  ジェイはビデオ屋に行く前にもうシャワーを浴びている。蓮は支度を始めた。   
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