ハイスペック園児 まさや君 其の1

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「まさや君に会いたかったからよ」 「ふ~ん……そうなんだ」  我ながら言い答えを返す事が出来たと思った。 「ねぇ、より子先生。今の答えは上手い事答えられたと思った?」 「お……思ったわ」 「ふ~ん……そうやって男をたぶらかしてんのかなぁ?」  まさや君の質問がエスカレートしていくのを感じた。  私の中では、まさや君の質問に対しては嘘をつかないというのが絶対的なルールなのだ。  知識不足でしっかりした答えが返せない事もあるけれど、子供達が素直に育つ為に、まずは自分が素直でなくてはいけないと日々思っている。 「ねぇ、より子先生。先生は嵐の中で誰が好き?」 「た……竹田君よ」 「ふ~ん……脱退した子かなぁ?」  私は嵐を知らない。嵐といえば山嵐という柔道技くらいしか知らないが、まさや君の質問で一番やっちゃいけないのが、知らないという答えだ。 「ねぇ、より子先生。先生が昨日食べていたザリガニはどういうつもりなの?」 「冗談のつもりよ」 「ふ~ん……そうなんだ」  まさや君は幼稚園児ながらSNSをやっている。  勘に触るような事を言ったら、何を拡散されるか分からない。 「ねぇ、より子先生。先生は傍若無人って言葉を何回言った事がある?」 「5回くらいかしら」     
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