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其の2
また今日も、まさや君との戦いが始まろうとしていた。
そう!もはや私にとってまさや君とのコミュニケーションは、戦いなのである!
保育士という仕事がここまで過酷だとは思いもしなかったが、まさや君が立派に成長するまでは、やっぱりこの仕事を辞める訳にはいかない!
私は自分にそう言い聞かせながら、今日もまさや君の質問責めに立ち向かうのであった。
「ねぇ、より子先生。どうしてより子先生は坊主にしないの?」
「今日は遅刻したけど、ちゃんと反省しているからよ」
「ふ?ん……そうなんだ。ボクにはそうは見えないけどなぁ……」
まさや君の質問はいつもキツイ……
質問もそうだけど、答えた後の一言が意外と心に刺さるのだ。
こう見えて私も、生身の人間だ。
出勤前にお腹が痛くなる事も、たまにはある……
「ねぇ、より子先生。今月のお給料、生活費以外は何に使ったの?」
「新しいパソコンを買ったわ」
「ふ~ん……そうなんだ。出会い系でもやるのかなぁ……」
全否定出来ないのが悔しい所だ……
だが正確に言うと、出会い系はスマホでしかやらない。
もっと言うと、まさや君が入園して来てから、そっちの世界に手を出してしまったのだ……
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