其の3

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 まさや君に、いつ見られたんだろう…… 「ねぇ、より子先生。先生はどんな泳ぎが得意なの? クロール? バタフライ? それともケロッグ?」 「実は先生、若い頃に背泳ぎで県大会を優勝した事があるのよ」 「ふ~ん……そうなんだ。より子先生は泳ぎでも、前を向いて生きていないんだね」  改めて思うが、やっぱりまさや君は言う事が凄い……  泳ぎ方の事を例えて、私の人生を否定しているのか、県大会に優勝したレベルなのに挫折した事を指摘されているのか分からなかったが、どちらにしても私が前向きに生きていない事を見透かしていた。  まさや君がケロッグと聞いたのは、実はフロッグと言いたかったのではないかと思ったけど、そこはあえてつっこまなかった。  おそらく平泳ぎをカエルと言いたくて、フロッグをケロッグと言ってしまったんだと思う。カエルのケロと、かかっていた所が紛らわしかったんだろう…… 「ねぇ、より子先生。先生は何でボクにパンツを履きなさいって言わないの?」 「えっ? ご……ごめんなさい」     
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